2時間かけて慎重に票を集計した結果、軍配が上がったのはなんと株主提案の方だった。株主提案と重複する2人を除いた会社提案の候補者は、8人中6人のみが可決。一方で、瀬戸氏を含む株主提案の候補者は、候補者たちの希望通り8人全員の一括選任となった。

 一般的に、株主提案は否決されることが多く、まさに異例の結果といえる。

 会社側も票集めには余念がなかった。候補者に“中立的な立場”の社外の人間を立て、経営刷新の重要性を訴えて「瀬戸氏のCEO退任を機に最高執行責任者(COO)に就任した山梨広一氏が議決権行使助言機関を行脚していた」(LIXILグループ関係者)という。

 だが結果的に、頼ったはずの助言機関の判断で会社側の劣勢が決まった。助言機関2機関から大枠で会社支持を取り付けたものの、そのうちの1機関が、今回否決となった会社提案の2候補に反対推奨を出したからだ。これで、この2候補を否決する流れが確立した。

 実は、助言機関は株主提案の候補者にも反対推奨を出していた。だが、「古くからINAXと取引があったり、INAXのときから株を持っていたりする株主は、やっぱりみんな、伊奈さんが肩を持つ瀬戸さんの提案を支持した」(冒頭の株主)というように、株主側には熱烈なファンがいた。

 さらに株主提案を後押ししたとみられるのが、経営の継続性を担保するという瀬戸氏の主張だ。

 株主提案は、取締役候補の半数をLIXILグループの社内から選出していた。これが、「取締役が外部出身者ばかりになったら、5社統合して複雑な中核事業会社を持つLIXILグループの経営は、いよいよ立ち行かなくなる」(LIXILグループの株を持つ企業幹部)という株主の懸念を和らげたようだ。