女性向けシェアハウス、かぼちゃの馬車を巡る一連の投資用不動産ローンで不正融資の実態が明るみとなったスルガ銀行。6月26日の株主総会において、スルガ出身の有國三知男社長と、SGホールディングス取締役からスルガの副社長に転じた嵯峨行介氏を中心とした新体制が発足した。その翌日に行った、2トップの独占インタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 中村正毅、藤田章夫)
「創業家のリーダーシップに安住していたところがあった」
スルガ銀行の有國三知男社長は、シェアハウスをはじめとした投資用不動産を巡る一連の不正融資で、土壌となった組織風土についてそう話す。
スルガ銀は、30年以上にわたってトップに君臨し、昨年引責辞任した前会長の岡野光喜氏と、3年前の2016年7月に死去した元副社長の故・岡野喜之助氏という「絶対的な力を持っている」(有國社長)2人の兄弟が、経営を完全掌握する体制を長年敷いてきた。
特に、「良きに計らえという殿様のような人」(金融庁幹部)だった光喜氏の傍らで、実務のほぼすべてを取り仕切っていた喜之助氏の権力は絶大だった。
「取締役会や経営会議に諮ることなく、対応方針を自ら決定し、関係する者に対してのみ指示を出していた」
「自ら非公式の会議を開催し、現場の情報を収集していたが、このような会議で喜之助氏が得た情報についても、やはり取締役会や経営会議で共有されることはなかった」
昨年公表された第三者委員会による調査報告書では、「実質的な最高意思決定者」だった喜之助氏の異様なまでの“専制君主”ぶりが伝わってくる。