NHKのインタビューに答える石川選手。最年少賞金王という栄冠にもかかわらず、「勘違いしたくない」と自らを戒めている。 |
男子ツアー最終戦の翌日、史上最年少で賞金王に輝いた石川遼選手はNHKの単独インタビューに応えた。プロデビューしてわずか2年、18歳でつかんだ栄冠に対し、本人は、
「驚いています。自分のいまの実力と努力の量とかけ離れた成績が出てしまったので、なるべく勘違いしないようにしたい」
と語った。
10代の賞金王が
ゴルフ界に与えた衝撃
石川選手は、尾崎将司選手の26歳というこれまでの最年少賞金王記録を大幅に更新した。ゴルフは、体力・技術もさることながら、様々な天候やコースに対応できる経験、そして4日間を戦い抜くタフな精神力が必要だ。歴代賞金王の平均年齢は選手が円熟期を迎える36.5歳。10代の賞金王誕生が日本ゴルフ界に与えた衝撃は計り知れない。石川選手はどのように頂点に上り詰めたのか。プロ2年目で急成長した秘密に迫った。
石川選手が頂点を極める原動力となったのは「攻めのゴルフ」。果敢にピンを狙い、時には1ラウンドで9つのバーディーを奪うなど驚異的な爆発力を見せる。今シーズン1ラウンドで奪ったバーディーの数は平均4.42。この10年間の日本ゴルフ界で最も高い数字だ。
石川選手の「攻めのゴルフ」を支える、300ヤード超のドライバーショット。 |
「攻めのゴルフ」を支えるのが300ヤードを超えるドライバーショット。パーファイブで第2打をグリーンに乗せられるこのドライバーが、攻めのゴルフを可能にしてきた。
しかし、このスタイルは大きなリスクを伴う。去年のプロ1年目は、なかなか結果につながらなかった。フルスイングで飛距離を狙うドライバーショットが大きくフェアウェーから外れラフやバンカーにつかまると、そこからスコアを崩したからだ。去年は予選落ち9回と安定しなかった。
今シーズン躍進の秘密は、フェアウェーを外した後のリカバリーショットにあった。 |
しかし今シーズンは違った。変わったのはフェアウェーを外した後のリカバリーショット。去年ならスコアを落とすきっかけになっていた状況で、今年はそこからバーディーやパーにつなげられるようになった。今シーズンは平均ストローク数、パット数ともに1位。飛距離だけでなく、全体的な技術のレベルが急激にあがった。
マスターズでの悔しさが
急成長のきっかけに
その石川選手の2年目の急成長のきっかけとなったのは世界最高峰の大会「マスターズ・トーナメント」。タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソンなどトッププロが集まる大舞台に、今年、石川選手は初めて挑んだ。だが、マスターズ特有の難しいコースに苦しみ、スコアを伸ばせず、予選落ちに終わった。
マスターズで勝つことは石川選手がゴルフを始めたころからの夢。その夢に向けて、1日もゴルフから離れることなく、ひたすら練習に取り組んだ。体格・体力で勝る海外の選手に飛距離で負けないようにドライバーショットを徹底的に磨き、プロになってからは体幹を中心に徹底的に鍛え上げた。2年で体重は8キロ増え、体脂肪率は1桁台になった。