懸念される「日本離れ」と「マネロン」

 しかし、国内の交換業者には2つの懸念がある。その1つが、そもそも足元の取引の主役が、「国内」から「海外」に移っていることだ。

 海外仮想通貨比較サイトであるCryptoCompareによると、日本で“仮想通貨バブル”が膨らんでいた17年後半、取引全体に占める日本円の割合は40%超を誇っていた。だが、今や日本円の取引は数%程度であり、取引の大半は米ドル、もしくは「テザー(取引単位:USDT)」と呼ばれる米ドルと固定した仮想通貨トークンでの取引だ。

「テザーの買い手は実質的に中国人が牽引している」(小田玄紀・ビットポイントジャパン社長)と目されており、くだんのバブルの時期ほど、国内ユーザーの関心を取り戻せていないことがうかがえる。

 2つ目の懸念が、今秋に予定されている、国際組織の金融活動作業部会(FATF)による日本のマネーロンダリング(資金洗浄)対策状況への審査だ。これに対する仮想通貨業界の警戒感は大きい。FATFは審査のガイドラインで、すべての金融機関に送金先の個人情報を把握することを指示しているが、今の仮想通貨取引では送金先のアドレスは分かっても、そのアドレスと個人情報が紐付いていない場合が多いからだ。

 それ故、「交換業者の間で、送金先を把握できるウォレット(仮想通貨の保管場所)の仕組みを検討している」(業界関係者)など対策を進めている。だが、技術的なハードルは高く、仮にFATF審査で大きな減点対象として挙げられてしまえば、当局による規制の締め付けが強くなるだろう。

 いくら新規顧客を獲得しても、マネロンの対策状況が前進しなければ元も子もない。一度失った信頼を取り戻すために、国内の仮想通貨業界はもう一度正念場を迎えそうだ。