大変な時期に踏ん張った経験は
転職市場でも評価される

 仮に勤務している会社の経営が危機的な状況になり、大量退職が発生している渦中にいるとしましょう。そのとき退職しないという選択をして、立て直しに東奔西走したものの倒産してしまうという最悪の事態に陥っても、そこに至る過程のストーリーは非常にダイナミックで、それを経験することは決して無駄ではありません。最後の最後まで踏ん張った事実は自信の源泉にもなるでしょうし、転職市場でも「当事者意識や責任感が強い人物である」として相応に評価されると思います。

 もちろん、会社の状況が厳しくなって退職した人が低く評価されるというわけではありません。それまでのキャリアを見て評価されるでしょう。ただ、経営者は「業績が悪くなることはいつだって起こり得る」と考えています。そのため、あまりに腰が軽い人は警戒されますし、反対に業績が悪くなったときに頼りになりそうな人は高く評価されやすくなります。

 経営者の役割の1つは、会社をずっとよい状態にキープし続けることです。しかし、景気変動などの外的要因もあるので厳しい時期を迎えることも当然あります。業績がよい時期は基本的にみんな機嫌よく働きます。当社でも業績が一定レベル以上になり、インセンティブの支払いがたくさんあった期は会社の雰囲気が非常によくなります。これはどの会社でもそうでしょう。

 一方、リーマンショックで業績が悪化したときは、非常に暗い雰囲気になりました。何しろ売上高が対前年比マイナス35%という惨たんたる状況でしたから。リストラは一切しませんでしたが給与は大幅に下げざるを得ず、自ら退職していく社員もいました。

 しかし大半の社員は残ってくれて、リーマンショック後の大変な時期を乗り越えることに貢献してくれました。このような時期に共に戦った社員に対する経営者の信頼は、非常に強くなります。これも会社が厳しい時期に残って頑張るメリットといえます。