「石の上にも3年」は危険!日本の転職文化、激変の現実Photo:PIXTA

終身雇用制度や年功序列の存続がいよいよ揺らいでいる我が国で、「逃げきれない」40代以下の世代や、50代の早期リタイア後の働き方も含めて、転職への意識が急速に変わってきたように感じる。想像以上のスピードで、日々ビジネスシーンは変化し続けており、かつての「石の上にも3年」という価値観は全く通じない世の中になった。しかし、依然として過去の価値観に当てはめようとする人が多いことも事実。この10年間で東証一部上場企業、海外企業、外資系企業、スタートアップ企業と転職を重ねる中でさまざまな職場を見てきた筆者が、自らの体験も含めて、「絶好の転職時代」に乗り遅れないための心構えを述べていきたい。(株式会社マネネ 代表取締役社長CEO 森永康平)

どのような環境で働いていくのか

 筆者の周りではいま、転職をしたという報告が増えている。少し前から頻繁に見かけるようになった大企業からスタートアップ企業への転職もあれば、最近ではスタートアップ企業からスタートアップ企業への転職というケースも増えてきた。一方で、転職を思いとどまった人も多くいる。その理由のほとんどは会社からの引き留めや、家族の反対などだ。

 これまで日本では、終身雇用制度や長期間雇用によって積み上がる退職金制度などもあって、無意識のうちに最初に入った会社で定年まで働くことが素晴らしいという価値観が普及していた。実際、経済的に安定した生活を送るためには現実的な方法だった。

 人口増加と経済成長を背景に、企業は従業員確保の仕組みとしてそうした制度を活用してきた。しかし本来、力強い好況が長期継続すること自体が稀有だ。人口が減少したり、経済成長が鈍化、低迷するのは常だが、そんな中で、テクノロジーの進化は光明だ。一般の人々の生き方や価値観も、技術の進化とともに変化し、今後はその変化がさらに加速していくだろう。