――先生のところを受診するのは、めまいが収まらない患者さんですね。

生坂:そうです。医療機関で耳石を戻す「体操」を指導されたけれども効果がないといって見えられます。特にご高齢で不安の強い性格の方は、もともと身体を動かすのが難儀だったのが、めまいによる転倒が怖くて余計動かなくなる。頭を動かさないと耳石はズレた位置で固定されてしまうので、めまいは治りません。そのため症状が改善せず、久々に動こうとすると激烈な回転性のめまいに襲われ、さらに動けなくなる。この悪循環で、全く体を動かせなくなる恐怖症に陥ってしまいす。

 もう1つ。実はなかなか治らないめまいの原因として良性発作性頭位めまい症と似た、「持続性知覚性姿勢誘発めまい」という別の病気があります。ぐるぐる目が回るのではなく、ふわふわしたした感じで1時間以上続く場合は、こちらを考えます。こちらは耳石がズレているわけではないので、頭位とめまいとの関係が曖昧で、体操も全く効かない。

――どうやって治すのですか。

生坂:この場合はSSRIなどの薬物療法が必要になります。どちらの場合も身体を動かすことが回復につながりますが、患者さんはめまいそのものや転倒に対して恐怖心があるので、ただ「動いてください」だけでは動けません。場合によっては、転倒予防のヒッププロテクターを付けるなど、総合的な対処をしながら、「これで大丈夫ですから動いてください」という具体的な指導が必要なのです。

―― 一般的な耳鼻科の外来では、そうした対応はしてもらえるのでしょうか。

生坂:一般的な外来は診察時間が短いので、治りが悪いようであれば、めまい専門の外来をお薦めします。

 実は私も、良性発作性頭位めまい症の経験者。再発時は耳石を元に戻す効率的な頭の動かし方を知っているので、自分で治療できますが、その体操自体、かなりつらいです。その上、うまくいった場合、めまいはピタッと止まりますが、いつもうまくいくとは限らない。

 最近は、ある一定の頭位さえとらなければ、めまいは起きないことが分かったので、発作が起きそうになった場合も、その頭位をとらないようにして動き回っています。ただ、その頭位は人それぞれ。治療には個別の指導・対策が必要ですので、継続的にかかれるお近くの専門外来を見つけてください。

 この病気はつらいです。1回耳石がずれてしまうと、元に戻るのに1~2ヵ月かかります。