韓国失業率悪化の理由は
最低賃金の引き上げ!?

 名目、実質ともに賃金が5カ月連続のマイナスとなっていることからもわかるように、もはや日本の賃金は自然上昇は期待できない。賛成派、反対派の方たちには、ぜひこれを機に建設的な議論をしていただきたいと願う一方で、一部の方たちが議論をミスリードさせかねない「恐怖訴求」をしていることが気にかかる。

 それは、「最低賃金を引き上げたら韓国のようになるぞ」という主張だ。ご存じのように、かの国は最近、やたらとこう報じられている。

『韓国失業率、1月は9年ぶりの水準に悪化 最低賃金上げが響く』(ロイター2019年2月13日)
『最低賃金上げたら失業率上昇 韓国「弱り目にたたり目」』(朝日新聞2019年3月18日)

 文政権は最低賃金を急速に引き上げており、2018年に16%、2019年1月にも10%上昇した。これによって小規模事業者が打撃を受けて、機械の導入などで人件費を削減した結果、失業者が溢れかえったというのだ。

「その通り!日本も最低賃金を引き上げたら同じ地獄が待っている」という声が聞こえてきそうだが、これはかなり恣意的なデータの解釈だといわざるをえない。

 韓国と日本では、最低賃金引き上げうんぬん以前に、労働者を取り巻く環境がまったく異なっているからだ。まず、大前提として、韓国は日本とは桁違いの「中小企業大国」ということがある。

 韓国経済研究院(韓経研)によると、2017年12月末の韓国の企業数は310万9159社で、そのうち大企業は2716社。つまり、310万強は中小零細企業である。では、日本はどうかというと約380万社(2017年版中小企業白書より)だ。

「なんだよ日本の方が多いじゃないか」と思う方もいるかもしれないが、人口に照らし合わせるとまったく違う評価となる。

 2017年の韓国の人口は5136万人。日本の人口は1億2000万人である。つまり、労働者は日本の4割程度しかいないのに、中小零細企業数は日本の8割、つまりほとんど変わらないほど乱立しているということなのだ。ちなみに、韓国の大企業比率の小ささは、OECD加盟34ヵ国のうち33番目である。