目下の中国で言えるのは、豚肉を売るには最高の時期ということだ。それ以外のほぼ全てを売るのには不都合だ。そして中央銀行の関係者は非常に苦しい時期を迎えている。家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」が猛威を振るう中国では、豚の飼育頭数が大きく減少。その結果は10日発表された物価データに表れた。6月の食品価格は前年同月比8%を超える上昇となり、2012年以来の大幅な伸びだった。一方、それ以外のほぼ全ての価格は上昇率が鈍化、もしくは下落に転じる寸前だ。6月の生産者物価指数(PPI)は2016年以来となる前年同月比横ばいだった。これは企業収益や労働市場、中国の債務問題にとって悪いニュースだ。生産者価格の伸びがマイナスに転じれば、遠からず、重工業分野が抱える巨額債務の返済が行き詰まるだろう。そうなれば中国経済を一段と鈍化させかねない金融不安を避けるべく、中銀はより積極的な行動に出ることを余儀なくされる公算が大きい。