そんなローズマリーは80歳になり、余命宣告を受けた。ヘルパーに対して威圧的で、気に入らないと次々にクビにしていく。そんな彼女は、著者のことだけは少しずつ受け入れていった。

 あるとき、ローズマリーはこんな言葉を漏らした。「幸せになりたいけど、どうしたらいいのかわからない」。離婚で一族の名前と評判に傷をつけたため、幸せになる資格がないと思いこんできたのだ。

 そこで著者は自分自身を許し、幸せになってもいいと伝えた。提案したのは、「幸せなふりをすること」である。30分間だけ否定的なことを言うのをやめ、微笑みを絶やさずに素敵なことを言う。幸せになるには、意識して努力することも必要だ。やがて、ローズマリーは幸せになってもいいと思えるようになり、笑う回数も増えていった。

 ローズマリーの後悔は「もっと幸せに過ごせばよかった」というものである。「自分には幸せになる権利がないと思い込み、他人の意見に引きずられて幸せにならずにいるなら、それをやめればいい。そんなの本当の自分ではない。どうしてもっと早くに気付かなかったのかしら。最近は本当の自分が好きになってきたわ」。そう話すローズマリーは、最期を迎えるまでの数ヵ月間を幸せに過ごすことができた。

◆後悔しない人生とは
◇自分を愛すること

 著者は多くの終末期の患者を介護し、いろいろな面で成長した。同時に疲れきってしまい、あるとき介護を離れることにした。自然豊かなコテージで創作活動をしながら、平穏で感謝に満ちた生活をしていた。精神面ではすべてうまくいっているはずだった。

 ところが突然、心が折れ、そのままどん底の状態になった。気力は一晩で消え去り、鬱状態に陥ってしまった。若い頃に批判され続けてきた苦しさ、そのままの自分を受け入れてもらえなかった苦しさ。こうした自覚がないままに心の奥に積もっていた苦しみが、一気に浮かびあがってきたのだ。