「第2次安倍政権でGDPは表向きは伸びたが、海外景気の好況で輸出が需要を支えたからだ。消費を中心に国内の需要は停滞したままだ。機動的な財政政策を掲げたアベノミクスの第二の矢は放たれていないことに気が付くのが遅れた」。

「10月に消費増税をやったら日本経済はまたおかしくなる。失速を防ぐためにも、MMTの議論を深めることが大事」。

 ケルトン教授を招いてシンポジウムを開いたのは、その一環という。

 この6年余りで、財政を通じて市場に供給された資金は、対GDP比で2012年は8%強(約40兆円)だったが、毎年、減少し17年には3%以下(11兆円程度)にまで落ちた。

 税収は12年度の42兆円から17年度は59兆円に拡大したが、17兆円の増収のうち10兆円は赤字国債の減額にあてられた。

 当初は大型補正予算がまとめられ、内閣には国土強靭化担当相も置かれたが、14年春の税率8%への消費増税で景気拡大の勢いが衰え、それにもかかわらず、補正予算は逆に、年々、小粒になっていった。

「緊縮的な財政運営になったのは、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標を掲げた財政健全化計画で毎年度の予算に枠がはめられ、財政出動が封じられていたからだ」と藤井氏は言う。

「PB改善のため増税をして歳出を抑えるから、金融緩和をいくらやっても需要が伸びない。民間は貯蓄超過、投資が足りない時は、政府が財政で需要を作るべきだった」

「PBの桎梏」から自由になる拠りどころが、国債発行による積極財政政策を掲げるMMTというわけだ。

 藤井氏と連携し、自民党内でMMTの勉強会などを主宰するのが、西田昌司参議院議員だ。

 藤井氏とは保守派の論客、故西部邁氏を中心とした会合で顔をあわせて以来のつきあい。安倍首相には折に触れて「財政の出番」を進言してきたというが、グループの1人、中野剛志氏の著作でMMTのことを知り「腹にストンと落ちた」という。

「日銀が国債を購入して金利がゼロになるまで資金を供給しても、銀行融資による信用創造が行われず、お金は銀行の日銀当座預金にたまったままで、市中に流れない。赤字財政で政府が直接、資金を市中に出すやり方にアベノミクスを進化させる必要がある」。