北京、上海、深センなどに加えて、広州、天津、成都、武漢、南京、鄭州、杭州などの都市部の戸籍制限も、すべて大幅に緩和された。

 日本社会を苦しめている少子高齢化の現象は、中国でも見え始めた。それはさらに「住民争奪戦」を熾烈なものにした。その意味では、住民争奪戦は数年前にすでに始まっていたのだ。国としての政策変更は、その現実を追認しただけのようなものだ。

 瀋陽、ハルピン、青島、西安、合肥、昆明、太原、長春、大連、長沙、済南、アモイ、南寧、ウルムチ、蘇州、寧波、石家庄、南昌、貴陽、汕頭、蘭州、無錫、福州、洛陽、仏山、温州、フフホト、恵州、包頭、常州、西寧、連雲港、張家口などの都市も、その争奪戦に参入したのである。

 省単位で見ると、人口流出の最も多い省は、河南省の1014万、安徽省の890万、四川省の777万、湖南省の650万、江西省の518万となっており、この5つの省の人口流出の割合はみな10%前後だ。

人口流出が激しい東北部よりも
環境が厳しい西安で起きた奇跡

 特筆すべきことは、東北部の3つの省の人口はすでに10年連続流出しているということだ。2017年の人口データを見ると、吉林省は総人口が2717.43万人で前年同期比15.6万人の減少、黒竜江省は3788.7万人で前年同期比10.5万人の減少、遼寧省は4369.8万人で前年同期比8.9万人の減少となっている。

 経済の重心が南に移るにつれ、特定の産業が突出して発達しているという産業構造が特徴的である東北地域には人が集まらず、人口流出の激化が社会現象にさえなってしまった。その影響が家庭にも大きく影を落とした。中国で離婚率が最も高いトップ5省に、東北3省が全てランク入りしており、そのうち黒竜江省の離婚率は64.13%と中国でトップになっている。興味深い現象と見る人もいるが、東北の人々の心境はまさに「泣きっ面に蜂」だろう。

 中国全体から見れば、人口は西部地区、中部のいくつかの地区の人口転出規模がますます拡大しており、東部、中部のいくつかの地区の人口集中傾向はますます顕著になっている。そのなかで、一帯一路こと新シルクロード経済圏の重要な拠点となる西安市は、西部に位置しているにもかかわらず人口が増え続け、今年4月末、ついに1000万人を突破した。その実績は、訪日した副市長の発言を強気なものにした一因にもなっただろう。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)