日曜よる9時からのTBSドラマ『ノーサイド・ゲーム』で「あの俳優は誰?」と話題になっている人物がいる。大泉洋さん演じる主人公の君嶋隼人がGM(ゼネラルマネージャー)を務める社会人ラグビーチーム、アストロズでスタンドオフ、背番号10番の浜畑譲を演じる廣瀬俊朗さんだ。
池井戸潤さんの同名書き下ろし小説も25万部を超えるベストセラーとなっており、今後の展開がますます気になる『ノーサイド・ゲーム』でドラマ初出演ながら物語のキーとなる重要な役柄を演じている。強いまなざしが印象的な廣瀬さん、じつは元日本代表の経歴を持つ本物のトップラグビー選手。そんな廣瀬さんにドラマにかける思いを語ってもらった。
――元ラグビー日本代表の廣瀬さんにとって『ノーサイド・ゲーム』は初のドラマ出演です。
慣れない現場だし、毎回緊張感があります。でも、スタッフも役者さんもみんなで盛り上げようとしてくれるので、楽しくやらせてもらっています。
――出演が決まったのはいつですか?
今年の3月にオーディションがあり、4月の終わりくらいにメンバーが決まりました。その後、アストロズのみんなで集まり、グランドで簡単なゲーム形式の練習をしたりして、チームができあがっていきました。いきなり現場に入って、知らない人同士でやるよりもいい形で撮影にのぞめたと思います。
1981年生まれ、大阪府吹田市出身。5歳からラグビーを始める。大阪府立北野高校、慶應義塾大学理工学部を卒業して、東芝ブレイブルーパスに入団。キャプテンとして日本一を達成した。また、日本代表として28試合に出場。2012-2013の2年間はキャプテンを務めた。ワールドカップ2015イングランド大会では、メンバーとして南アフリカ戦の勝利に貢献。現在は、ラグビーワールドカップ2019のアンバサダーとして、自分自身の社会貢献活動を通じた、スポーツ普及と教育に重点的に取り組んでいる。
――廣瀬さん演じる浜畑は、日本代表の司令塔でアストロズの「顔」。複雑な感情を抱えて君嶋隼人(大泉洋さん)と向かい合う重要な役です。
福澤(克雄)監督が「お前はそのままでいいよ」と言ってくれて。僕は実際のラグビー日本代表でも前回のW杯では試合に出ず、チームを下支えする役割でした。「ベテランが裏でチームを支える」という役柄は、気持ちが入りやすかった。福澤監督がそういうことも考えてくださったんだと思います。
――初のドラマ出演ですね。演じることは難しいですか?
浜畑は、最初は君嶋を信じきれなくて、反発するキャラなんです。君嶋が話をしている時に途中退出したり。それは今までの僕にはなかった部分なので、新しい挑戦だと思っています。
――演技の練習はしましたか?
家でしています(笑)。これまでも実際にラグビーのキャプテンとして演じてきた部分もゼロではないかもしれません。キャプテンとして光り輝いていた時もあれば、裏方で試合に出られない時もあった。光と暗闇を両方味わった。それは演技する上でも大きいかもしれない。
――福澤監督からアドバイスはありますか?
「あまりセリフに持っていかれるな。気持ちを一番大事にしろ」と言われます。「悔しいと思ったことをそのまま出せ」と。自分は素人なので、変に格好つけることはやめています。監督が認めてくれたのだから、僕は僕らしく、ある意味で開き直っています。
あとはこの場を楽しもうという気持ちで挑んでいます。「嫌だな、不安だな」と思ってしまうといい演技はできない。「こんな場所にいられてうれしい、大泉さんやみなさんと何かを作り上げることができるなんて楽しい」と思ってやっています。
――福澤組の雰囲気はどうですか?
みなさん、プライドをもってやっている感じがある。プロフェッショナルです。大変ですが、素晴らしいチームだと思います。アストロズのみんなも、その思いに対して貢献しようという気持ちでやっています。