これらの失策も、下手をしたら「日本の経済報復のせい」と言われかねない。逆に韓国の保守系政党は、ここぞとばかりに今回の問題を文在寅政権の経済政策、外交政策の失敗と攻撃している。韓国の新聞各紙も、一部の左派系紙を除いて、今回に限っては文在寅政権側の対応を問題視する論調が目立っている。

 韓国の大統領制は再選なしの1期5年の制度で、文在寅大統領は任期が終われば大統領ではなくなる。そのため、構造的に政権末期にレームダック化しやすい制度であることに加え、来年の議会の総選挙で与党が敗北すれば、より政権基盤は弱くなるし、仮に次の大統領選で与野党が逆転すれば、自身の身も危なくなる。

日韓両国は感情的に
対立すべきではない

 これまで民主化以降の韓国大統領は、政権が替わるたびにもれなく逮捕されてきた。「今回の日本の措置は、優遇措置を撤廃しただけでまだ実際の規制を始めたわけではないから、それほど慌てる必要はない」ということを筆者は各メディアで主張してきたが、文在寅大統領は「非常事態」と言う。確かに大統領本人にとってみれば、下手をすると将来、自身に危険が迫るという意味で、個人的な非常事態かもしれない。

 こうした韓国の国内政治上の理由を考えれば、ますます今回の件は、日韓両国が感情的に対立すべきではなく、「大した問題ではない」という日本の主張を淡々と繰り返すことがベストな解決策といえる。

 日韓を二極化して話をしているが、日本にもさまざまな世論や利害関係があるように、韓国も一枚岩ではない。韓国の財界にとって潜在的な脅威は、日本よりむしろ国内の文在寅政権である。解決の糸口があるとすれば、日本と韓国の民間企業同士の連携の中にあるだろう。日本の安全保障が守られることが前提として、韓国企業に対し台湾や中国の企業と同等に輸出審査の扱いをすればよいだけの話である。

 日本政府が信頼できないとしているのは韓国政府であって、だからこそ日本と韓国の企業間取引の審査に日本政府自身が乗り出すというのが、今回の措置の本質だ。日本政府と日本企業、韓国企業の3者間で、事務的に処理を進めていけばよい話であり、今の韓国政府を相手にする必要がないというだけのことだ。