日韓貿易戦争になれば、中国に「漁夫の利」を与えるだけで終わる理由
日本政府の韓国に対する輸出規制は、日韓貿易戦争への発展が危惧されている。しかし、アジア全体で見るともっと大きな課題がある Photo:123RF

日本の対韓輸出ルール変更が
正確に報じられていない背景

 日本政府は7月4日、半導体や有機ELパネル製造に必要な3品目の材料について、韓国に対する輸出ルールを変更した。ここであえて「輸出規制」と言わずに回りくどい言い方をしたのには、わけがある。一部の海外メディアや韓国政府高官は、今回の日本の措置を「ban」(輸出禁止)と過激に表現しているが、日本政府は現時点で韓国に対して、輸出禁止はしていないし、厳密にはWTOに抵触するような輸出規制もしていないといえるだろう。

 少し法律的な話になるが、日本には武器の転用や開発につながる物の輸出を規制する、外為法に基づく輸出貿易管理令という安全保障貿易のルールがある。日本の輸出した製品が輸入国、あるいは輸入国を経由した第3国で武器転用につながらないようにする制度であり、これはGATT(関税と貿易に関する一般協定)で認められた安全保障のための輸出規制である。

 輸出貿易管理令に基づく規制輸出品は原則、個別審査を必要とし、不許可とすることも認められている。ただし、輸出を行っても安全保障を脅かさないという信頼関係が構築された国に対しては、輸出業務の包括認証を認める「ホワイト国」という制度がある(これも規制を緩めるというだけでしかない)。

 今回、日本政府が行ったのは、このホワイト国リストから韓国を外したということである。これは、日本が中国や多くの諸外国に対して行っている「通常の通関業務」と同じ扱いにするというだけの話だ。

 日本は現在、中国をホワイト国リストに入れていないが、今回韓国を対象にした3品目は、中国にも個別審査を経て輸出している。それと同じ状態に韓国をしただけに過ぎない。ホワイト国のルールは、両国の信頼関係の上に特別待遇を認めるという、日本国が決められる事項だ。

 つまり、輸出審査の仕方を変えただけで、個別審査は先に述べた中国をはじめ多くの国に対して行っている通常の通関業務なので、今回の措置によって輸出が禁止されるということはなく、諸外国同様に個別審査によって輸出も行えるということが話の前提になる。