がん細胞は
どんな「顔」をしているか
『こわいもの知らずの病理学』(略称『こわ病』)で一発あてたので、調子をこいて病理学シリーズの本をだしました!という訳では決してない。だいたい、自分の本とちゃうし。
かといって関係がないかというとそうでもない。『なかのぐら対談』として、わたしと著者の小倉先生との対談が二ヶ所に載っている。念のために言っておくが、対談は印税制ではなくて謝金制である。だから、この本『おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話』のレビューのおかげで爆発的に売れたとしても(そんなことないと思うけど)、収入が増えるわけではない。ということで利益相反の開示は終了。
「BOOK」データベースの宣伝文句を見てびっくりした。いきなり「『こわいもの知らずの病理学講義』でつまずいた人、必読!」って、喧嘩うってんのか!おかげさまで20刷、7万2千部のベストセラーとなった(←自慢)拙著『こわ病』は、近所のおっちゃんやおばちゃんにわかるように、たいがいやさしく書いたつもりだ。それでも、時々むずかしいとお叱りをうけることがある。あれ以上やさしくするのは無理やろ、と思っていたけれど、この本を読んだらそうでもなかったかも。
この本と『こわ病』とは説明のアプローチがちがう。ともに病理学を名乗っているが、小倉先生はホンモノの病理医だ。それに対して、私めは病理学の教授をしているが、病理医ではない。いわば、なんちゃって病理学教授である。