一方で2017年に発売されたスーファミミニは、5つの半導体チップだけで同じ機能を実現し、かつゲームソフトも本体に内蔵している。その5つの半導体はすべて市場で調達できる汎用のチップだ。それはファミコンミニも同様で、両機に使われているチップは多くの中国製タブレットなどに搭載されている中国Allwiner Technorogy(珠海全志科技)を中心にしたもので、他のチップ類も中国、台湾、韓国などの製品で構成されている。Allwinner社は中国広東省珠海市、深センの隣に本社を置く半導体メーカーだ。

 チップ数が少ないことは、そのまま設計開発コストや製造コストの安さにつながる。また、汎用チップを使った製品作りは、短期間での製品投入や多品種小ロットが実現可能になる。これは、専用の半導体設計の場合、多大な初期投資がかかる一方で、製造は量産効果が効くため「小品種で大ロット、同じ製品を長年売る」タイプのビジネスになるのと真逆である。

 汎用チップの性能向上によって、ソフトウェアで差別化して多品種で小ロットの製品を出すスタイルの製品開発を生み出したという事実は、ファミコンミニとスーファミミニの中身を見るとよく分かる。同レポートで分解されているファミコンミニとスーファミミニの2製品は、ほぼ同じ設計と部品で作られているのだ。

ファミコンミニとスーファミミニの分解比較ファミコンミニとスーファミミニは、ハードウェア的にそっくり。すべて市場で調達できる汎用の半導体チップで設計されている(出典:テカナリエレポート143号)
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 両機は共に数百万台規模の大ヒット製品になったので、「小ロット」を掲げるような製品ではないが、ほぼ同じハードウェア構成で機能の異なる2つの製品を開発できることは、初代のファミコンやスーパーファミコンの開発時には不可能だったことだ。

ムーアの法則で変わる産業の形

 同じ機能をもつスーファミとスーファミミニで、専用チップの設計の必要がなくなり、かつチップの数が減っているのは、スーパーファミコン発売時の1990年とスーファミミニ発売の2017年の30年あまりのあいだで、半導体の性能が驚異的に進化し、価格も低下したからだ。