米議会の議員は今週、フェイスブックが計画している仮想通貨「リブラ」を巡って同社を糾弾した。リブラの表向きの狙いは、低所得者層を助け、民主党が2010年の金融改革法(ドット・フランク法)で生んだ市場のニーズに応えることだ。これは規制の意図せざる影響と関係がある。
フェイスブックは、ブロックチェーン技術を基にするというリブラについて、金融システムの摩擦を減らし、従来の銀行口座を持たない人々のために役立てる狙いがあると述べている。顧客が財布代わりにお金を入れ、ネット決済に使うことのできるデジタルウォレットは、当座預金口座に似ているが手数料も必要最低残高もない。
ビットコインや他の仮想通貨と違い、リブラは安定した政府の短期証券を裏付け資産とする予定。特定の法定通貨に対するリブラの相場は徐々に変動するかもしれないが、その通貨の価値が下落することはない。リブラの需要が高まれば、企業や非営利団体や学術機関でつくる「協会」が追加発行するだけのことだ。
連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長をはじめとする金融当局者は、フェイスブックの仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になりかねないとの懸念を示してきた。議員たちも今週、いわくつきの同社が顧客のプライバシーを守ると信じていいのかどうか疑問を呈した。
確かにそうだが、少なくとも米国では、主な受益者は銀行システムから締め出された低所得者層かもしれない。それはドッド・フランク法のダービン修正のためだ。この修正により、銀行がデビットカードの取引ごとに加盟店に課す手数料に上限ができた。民主党は消費者のコストが減ると主張したが、逆に作用したことを示す研究は幾つもある。