小さい会社だからこそ
できていた顧客対応
この会社は大手企業や団体など優良顧客を中心に契約しており、営業に人員を注げばさらに展開することができると判断されました。また、PL保険(生産物賠償責任保険)をはじめとする一般企業向け賠償責任保険や、専門職業人賠償責任保険など、高度で複雑な商品の取り扱いを得意としていることから、一朝一夕に担当者の育成ができないことも評価された点です。
従業員の能力が高いだけでなく、従業員と顧客との関係が濃密な点も高く評価されました。というのも、顧客の役員や現場担当者とは定期的に面談を行い、先方の社内行事にも参加する関係が構築できていたからです。担当者の代替わりなど、引き継ぎ時の関係の希薄化も乗り越え、長年の付き合いが続いていました。
小さな組織ならではのメリットも十分に生かしていました。担当者が不在のときでも顧客の要望に対応できるように、複数の従業員が顧客から顔の見える存在として認知されていました。
社長と役員が退職しても、現場の従業員さえ残っていれば業務に支障はない。むしろ、従業員がいなくなると顧客からの信頼が損なわれてしまうリスクがある。そう判断されたのです。小さな会社ではありましたが、決して組織力がないわけではなく、社長や役員がいなくなったとしても仕事が回らなくなるということもありません。
むしろ、小さいからこそ個々の従業員が工夫を凝らしながら多種多様な業務をこなしていて、顧客との関係を担当者任せにせず、複数で顔の見える対応ができているなど効率的な組織体制になっていることもあります。
大手企業のような組織体制が整っていないからといって、それがマイナス材料になるとは限らないのです。
※次回は、かなりの田舎にある会社でも売れたケースをお伝えします(7月29日公開予定)。