会社はあなたが思う以上に、あなたのことをよく知っているかもしれない。会議での声の調子。デスクを離れる頻度。メールを返す早さ。オフィスのどこを歩き回っているか。パソコン画面に何が映っているか。米国の大企業で働くということは今や、従業員データの源になることを意味する。朝一番にベッドから送る電子メールから、昼食中に使うWi-Fiホットスポット、さらには帰宅前に追加した新規顧客の連絡先まで、全てがデータになる。誰に影響力があって、どのチームが最も生産性が高く、誰が辞めそうかを突き止めるため、企業はこうしたやりとりを分析している。米企業は従業員を監視する幅広い法的権限を持つが、何を追跡しているかを常に従業員に知らせる訳ではない。医薬品卸売り大手マッケソンの幹部は昨年、離職率が高いチームがあるのはなぜかを解明するため、人材分析を手掛ける新興企業と協力して2万人超の米従業員による1億3000万通を超える電子メールについて、送信者や受信者、送受信の日時を調査した。メールの内容は調査対象ではない。点と点のつながりから、どんな関係が浮かび上がるかを調べたのだ。