企業は伝統的に、主にマネジャーの評価に基づき、集団の中からスターを見つけ出してきた。このアプローチは時として視野が狭く、主観的で、先入観に左右されるといった弱点を持つ。
だがここに来て、雇用主の一部は隠れた才能を見つけ、積極的に登用する新たなツールに注目している。全社規模の調査を行い、その結果を高速処理して、従業員の非公式ネットワークをあぶり出すという。その狙いは、会社の発展を静かに後押ししている従業員を発掘し、彼らを育て上げることだ。
「見えないスターは多くの場合、われわれが称賛する人々より大きな力を持っている」。ハーバード大学ビジネススクールのボリス・グロイスバーグ教授はこう語った。「もしその人物を失えば、他の7人のパフォーマンスが低下する」
人事管理・財務ソフトウエアを開発するワークデイは、従業員が何らかのプロジェクトに手を貸したり、厄介な問題を乗り越えるのを手伝ったりした同僚に感謝を伝えるためのフィードバック・ツールを提供する。同社はこのツールを「知識ブローカー」(陰の実力者であり、他のメンバーが指示や洞察を求める人物)の存在を突き止めることや、買収された企業の従業員がいかに組織に同化すればよいかを知る手立てとして利用できるものと見なしている。ワークデイのシニアバイスプレジデント、グレッグ・プライアー氏はこう説明する。
データセンターを手掛けるエクイニクスは従業員に対し、誰と一緒に仕事を進めているか、誰が頼りになる存在かを質問した。最も周囲とのつながりが深く、大きな影響力を持つ社員を知るためだと同社のチャールズ・J・メイヤース最高経営責任者(CEO)は話す。