リブラ計画に金融当局は
強い懸念を表明
米フェイスブックは6月18日に、新しいデジタル通貨「リブラ」(Libra)計画についての概要、いわゆるホワイトペーパーを公表した。2020年前半にサービスを開始する予定としている。
このリブラ発行計画に対して、世界の金融当局からは一斉に強い懸念が示された。7月17、18日にフランスで開かれたG7(先進7ヵ国)財務相・中央銀行総裁会議では、「最大限の規制が必要」との意見で各国が一致した。
背景にあるのは、このリブラが現在流通している仮想通貨(暗号資産)とはけた違いの規模で、グローバルに決済手段として利用される潜在力があることを、彼らが一瞬で見抜いたことだろう。それゆえ、この新通貨が金融システムを不安定化させ、金融政策の有効性を低下させ、またマネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪に利用されるリスクが大きいことが懸念されたのである。
リブラは既存の仮想通貨(暗号資産)とは全く異なるものだという点を、まず理解しておく必要がある。仮想通貨(暗号資産)は投資対象としては強い関心を集めた一方、決済手段(支払い手段)としての利用はかなり限られる。これは、仮想通貨(暗号資産)の価格のボラティリティ(変動率)が非常に高いことによる。
価格のボラティリティが高いと、投資対象としての魅力は高まる反面、決済手段としての利用は広がりにくい。そして、仮想通貨(暗号資産)のボラティリティの高さは、それが本源的な価値を持っていないことによるところが大きいと考えられる。