フェイスブック「リブラ」こそが正義!利用者目線の金融世直しに期待Photo:Chesnot/gettyimages

「リブラこそが正義!」ではないか

「金融ビジネスにあって、リブラこそが正義だ!」と一回言ってみよう。

 ユーザーにとって、割合に安定した価値のやりとりを、国境を越えて安価かつ簡単に行うことができるのだとすると大変便利だ。「消費者の経済厚生の増大」を社会の経済的価値判断の基準とするなら、米フェイスブックがサービス開始を目指す独自のデジタル通貨「リブラ」の方向性はビジネスとして正義だと考えるべきだろう。

 もちろん、現実問題として、フェイスブックが信頼に足るのかという問題はある。俗に「GAFA」と称される巨大IT企業の中でも、これまでのところ、個人情報の漏えい問題があったり、会員の個人データを実質的に売るようなビジネスを行っている疑いを持たれたり、フェイスブックは相対的に「行儀が悪い」と思われがちな、信頼というイメージから遠い企業であった。これは、目下の同社に「徳」が欠けているとでもいうしかない経営上の力不足だが、改心は可能だ。今後、同社が適切にリブラを運営し、それが顧客にとって便利ならそれでいいではないか。

規制当局の警戒は「半分怪しい」

 そのように筆者が思うのは、各国の中央銀行や金融監督当局がリブラに対してあまりに警戒的であることを「半分怪しい」と思うからだ。

 国際的な広がりと多くの会員を持つフェイスブックが、通貨のような支払い手段をビジネス化することの影響は大きいかもしれない。何らかの状況にあって、金融システムやひいては経済に対して混乱が及ぶ可能性について、各国の中央銀行や金融監督当局が心配するのは正しいことだ。この点は認めよう。