昨今の複雑化するクレームにはマニュアルに替わるテクニックを!

 特に近年、お客さまのクレームや怒りのありようが複雑になっていて、マニュアル対応ではご満足いただけないケースが増えています。いわば、従来の接客マニュアルでは想定外のクレームや怒りが増えているのです。

 たとえば、情報の拡散スピードの高速化もその一つです。ツイッターなどのSNS、口コミサイト、掲示板などで、商品やサービスに関する情報を一般の人が気軽に発信できるようになったことで、「こんな対応をされた!」「ひどい‼」という情報をほぼリアルタイムでアップされ、企業に対していわゆる「炎上」を簡単に引き起こせるようになっています。

 また、高齢化の問題もあります。人は年齢を重ねると穏やかになるというのが、これまでのイメージでしたが、少なくとも接客現場ではむしろ逆の印象です。体力や気力の低下に伴って、ストレスを溜め込みやすくなり、怒りにつながっている傾向が見てとれます。加えて仕事や子育てから引退してしまったことで、承認欲求を満たす場がなくなり、「役に立ちたい」という思いが暴走しがちです。

 こうした複雑化しつつあるお客さまの怒りに対して、旧来の柔軟性に乏しい、問答集のような接客マニュアル対応ではとても通用しません。マニュアルの前に、その時々のお客さまの事情や気持ちがあることを忘れないことです。お客さまの気持ちや反応を無視して、手順にこだわりすぎることのないように注意しましょう。