でもリブラを毛嫌いしている人も実のところ、フェイスブックが一体何を産み出そうと、どんな未来を創造しようとしているのかに関心持ってくれたらなと思います。金融のプロによる解説は多々ありますが、インターネット・ビジネスやデジタル・エコノミーの視点から読み解いたものは日本ではまれです。僕は世界で進むデジタル革命を観察している者の視点でリブラを解説しようと思います。

繋がることの創造的破壊力
手間とコストが革新阻む

 フェイスブックは世界24億人が利用する巨大SNSで、傘下には写真SNSのインスタグラムや、メッセンジャーサービスのワッツアップなどがあります。収益源は広告です。このフェイスブック、一体何を目指している企業か知っていますか?ミッション・ステートメント、つまり日本企業で言うところの経営理念にはこうあります。

 Give people the power to build community and bring the world closer together.
 (人々にコミュニティを築く力を与え、世界をもっと密にする)

 米ITガリバーのミッション・ステートメントは建前ではありません。自社のビジネスの本質をシンプルに表現し、社員と株主にブレない軸を示しているのです。そしてフェイスブックの場合、「国境を越えて、人と人を繋げること」が本質であり、価値の根源だと言っているわけです。

 フェイスブックに限らず、SNSというものを初めて知った時、「何が面白いのか?」と思った人もいるでしょう。SNS以前の僕たちは、電話やメールを介して友人や仕事の仲間と繋がっていて、それが特に不便だとも感じませんでした。でもひとたびSNSを使いこなすと、もう手放せないのではありませんか? SNSは電話よりずっと低コストで、メールよりずっと簡単に、しかもはるかに多くの人・情報に触れられるからです。こうしてフェイスブックには24億人が集まり、そこに広告市場が生まれています。

リブラの利用イメージリブラの利用イメージ。2020年のサービス開始を目指している。(出所・フェイスブック傘下のカリブラ公式サイトから)