習主席のいとこ、豪で調査対象に マネロン絡みかPhoto:Reuters

 オーストラリア当局は組織犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)、中国の利益誘導を巡る調査の一環で、中国の習近平国家主席のいとこについて調べている。豪州当局者が明らかにした。

 この人物はオーストラリア市民権を持つ61歳の斉明(ミン・チャイ)氏。ギャンブラーや犯罪組織メンバーが豪州内外に資金を移動するのを支援するため、2017年にマネーロンダリング(資金洗浄)を行うダミー会社を利用した疑いが持たれているという。警察の調査はこれ以外の疑惑にも及んでいる。

 当局者によると、調査官らは斉氏がメルボルンのクラウンカジノで高額を賭けたギャンブルについて、その資金源を突き止めようとしているほか、マネロン調査の対象となっている人物を含むさまざまな事業パートナーとの関係も調べている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したクラウンカジノの記録によると、斉氏は2012年から13年にかけての1年半余りの間に、カジノで約3900万ドル(約42億円)を賭けた。15年にはクラウンカジノの上位50人の得意客に入り、賭け金は4100万ドルに上るとみられていた。WSJはそれ以降の記録は入手していない。

 習氏が何らかの形で斉氏に便宜を図った形跡はなく、斉氏の事業やギャンブルについて知っている証拠もない。斉氏を知る人々によると、同氏は事業機会を追求する中でしばしば、習氏と親族関係にあることをひけらかしていたという。