東日本成人矯正医療センターが
整備された背景

 ここは、東京都昭島市にある東日本成人矯正医療センター。たかしさんのような、終末期の患者である受刑者は珍しくない。

 日本最大の医療専門の刑務所として、2018年1月に八王子医療刑務所を母体とする形で、開所した。敷地の広さは約5.5万㎡。病床数は445床あり、人工透析機器も30台ある。診療科目は外科や精神科、リハビリテーション科など広くまたがり、精神疾患や知的障害がある「M指標受刑者(Mental 精神障害者)」も多数いる。全国の刑務所などから患者を収容して治療するので、適当な規模だろう。

 たかしさんも、喜連川社会復帰促進センターから今年1月末に移ってきたという。

 日本に医療刑務所はここを含めて4ヵ所ある。刑務所はどこも老朽化が目立ち、矯正予算の少なさのため、改築するのもひと苦労だが、そんな中、東日本矯正医療センターが開設された目的は、大きく2つある。
  
 ひとつは総合病院機能を持つ刑務所として、医療スタッフや医療機器を集約して整備することで、財政の効率化を図ること。もうひとつは、受刑者の健康回復や維持は、再犯防止対策のための各種矯正処遇の基盤になるという考え方にのっとった「矯正医療の理念を実現」することだ。

 それにしても、たかしさんは、なぜここに来ることになったのだろう。