世界一売れたスニーカーの「顔」になった男、スタン・スミス氏に聞く本音Finlay Renwick/EsquireUK

彼はどうやってテニスプレイヤーから、世界一人気なスニーカーの顔になったのでしょうか。

「自分の顔がスニーカーにプリントされているっていうのは、確かに変な気分ですね」と、ウィンブルドン・コモンのそばにある、手入れの行き届いた庭園に置かれた椅子に寄りかかってスタン・スミス氏は笑います。

 新鮮な空気に、アジサイと切りそろえられた芝生の香りが漂い、空にはヒースロー空港から飛び立ったジェット機の音が遠くに響いていました。

 アメリカの伝説的テニスプレイヤーは、高そうな水色のシャツに、しみひとつない紺のブレザーを羽織った出で立ち。195センチの長身で、カリフォルニア的なゆったりとした威厳があり、わし鼻で朝一番のプールのような鮮やかな青い瞳。遠い日の記憶が浮かぶ穏やかな表情で、強い日差しのもとボールを追った日々が刻まれた褐色の肌をしています。

 現在72歳。長年トレードマークとなっている口ひげには、茶色とグレイの色合いが混ざり、向かいのオールイングランド・クラブのテニスコートのようにしっかりと手入れされています。足元には、はき慣れた黒のベルクロのスタンスミス。そのシュータンからはもちろん彼の顔がのぞいています。最後に数えたときには、70から80足のスタンスミスを持っていたそうです。