ベゼルの上では、ムラサキイガイがスクスクと成長していたようです
ダイビングへ行くとき、「防水とはいえ実際に大丈夫なのだろうか?」という不安に駆られる人は少なくないでしょう。しかし、安心しても大丈夫そうです。「ロレックスなら、なんの迷いもなく身につけていって大丈夫だ」ということが、ここで改めて証明されました(とは言え、この高級時計を身につけてダイビングに行く人は少数派かとは思いますが…)。
本題に入る前にロレックスの名前こそ知れど、「ロレックスの防水時計の歴史についてはあまり知らない」という方のため、簡単に振り返ってみましょう。
1926年、世界初となる防水性と防塵性を備えたロレックス「オイスター」がデビューしました。完全密閉のケースを備え、ムーブメントを完璧に保護することを可能にした「オイスター」は、当時とてもユニークなものとして注目を集めました。そして1927年には、その防水性を証明するため、若きイギリス人スイマーであったメルセデス・グライツ氏がこの防水時計を腕に身につけ、ドーバー海峡を約15時間15分かけて泳いで横断したのです。その偉業によって完璧な防水性が証明されたロレックス「オイスター」は、現在に至るまで絶大な支持を誇る防水時計として確固たる地位を築いてきました。
その後1953年には、水深100mまで耐水性のある初のダイビングウォッチもデビュー。時計を身につけたまま水中世界を楽しむことのできる時計の開発に、ロレックスの躍進はとどまることを知りませんでした。1967年には深海遠征用のツールとして、「シードゥエラー」を開発。その外観は、1953年に誕生した「サブマリーナー」に酷似していましたが、この時計は水深610m防水機能を持っていたのです。
「シードゥエラー」の最大の特徴は、自動的にヘリウムガスを排出するヘリウムガスエスケープバルブです。深い潜水に使われる空気は、ヘリウムを主成分としています。そして浮上の際、ヘリウムガスがケース内に侵入して抜けない場合、その気圧差で爆発するおそれが出てきます。これを回避するため、自動的に排出することができる仕組みがヘリウムガスエスケープバブルなのです。そのため、長い段階減圧でヘリウムにより時計を損傷させることなくケースを守ることができるというわけです。