痛みの伝え方のコツを知って早期診断につなげ、誤診を防ごう Photo:PIXTA

 体のSOSサインとも言える痛み。日ごろから頭痛や腰痛に悩まされている人も多いが、緊急性の高い病気には、どんな痛みがあるのだろうか。症状から病気を診断するエキスパートの総合診療医や、痛み治療を専門とする麻酔科医らに聞いた。

頭痛

■ハンマーで殴られたような突然の激痛→くも膜下出血

 神奈川県在住の女性(34)は買い物の帰り、ガツンと頭を何か硬いもので殴られたような痛みに襲われた。女性は10年来の頭痛持ちだが、このときはこれまで経験したことのない痛み。かかりつけのクリニックに駆け込み、医師に診てもらうと、「いつもの頭痛でしょう」。そのまま帰宅した。

 それでも一抹の不安が残ったことから、女性は大学病院を受診した。

「頭部のCT検査を受けてもらうと、脳の太い血管にできたコブ(瘤)から出血していました。くも膜下出血でした」

 と話すのは、北里大学病院(相模原市)集中治療センター長で麻酔科医の新井正康さんだ。

 くも膜下出血は脳卒中の一つで、先日亡くなったジャニーズ事務所のジャニー喜多川さんの死因もこの病気だ。脳の太い血管にできた瘤(りゅう=脳動脈瘤)が何らかのきっかけで破裂し、脳を覆っている二つの膜(くも膜と軟膜)の間に血液がたまる。命に関わる危険な病気で、最初の発症で死亡する割合は15%程度。後遺症を抱えることも多く、社会復帰を果たせるのは30%程度でしかない。

 新井さんによると、くも膜下出血で感じる頭痛は、ハンマーで殴られたような激痛。破裂して漏れ出た血液がくも膜を圧迫し、知覚神経を刺激するからだ。出血が多いと意識を失うこともある。実際、ジャニーさんのケースでは、体調の異変があって医療機関に向かおうとしたところ、意識を失っている。

 ただ、この女性の場合、激しい痛みに襲われたものの意識は失わず、いったんは落ち着いた。クリニックと大学病院を受診することもできた。

「実は、くも膜下出血は最初に小さい出血から始まる場合があり、その場合、一過性の頭痛や吐き気といった症状が表れます。その後、必ず本格的な破裂が起こるので、今までと違う突然の激しい頭痛は放置せず、すぐに医療機関を受診してください」(新井さん)

 ちなみに、くも膜下出血の原因となる血管の瘤があるかは、脳ドックで調べられる。瘤が見つかれば破裂前に予防的に治療することも可能だ。