NHKの受信料の強制徴収や報道姿勢に不満を持つ人は少なくないだろうが、その極めて限定的な目標を政党名にして本格的に国政選挙に打って出るとは、なかなか想像できないことだった。

 また、自分たちが勇猛果敢であることを、有名な武将や武士の集団で例えるというのは、日本の政治家が好んでやることだが、それを党名にまではしない。ましてや幕府を守るために勤王の志士を弾圧した新選組を名乗るのは、大きな変革を目指す新党には不利とも考えられる。「れいわ」の党名も従来の発想からは出てこないものだ。

 ただし、最近のアニメ番組とか、山本太郎代表がかつて原田左之助を演じたNHKの大河ドラマでは、新選組は正義の味方の役割だ。

 現代のテレビ文化から生まれた逆張り的なセンスと、長州(山口県)を選挙区とする安倍首相が支配する現体制を退治するというような意味合いを込めて、「新選組」を名乗ったのだろう。

「しんせん(新鮮)」という響きも考慮に入れているかもしれない。

 こうした両党のヘンなところにこだわったネーミングは、NHKの「日曜討論」のような場で、フォーマルな装いで礼儀正しく冷静な調子で、バランスの取れた政策を語ることで国民の信頼を得る、という姿勢を取ってきた既成政党の感性とは相容れない。

 しかしツイッターや動画を軸とするネットを舞台にした選挙戦では、インパクトのある党名で視覚・聴覚的に印象に残りやすいメッセージを発信し続けた。

 それに加えて、政治のプロとは思えない、変わった経歴の人たちを候補に立てるという戦術はかなり効果的だったようだ。

 既成政党の場合、比例区などにはかなり知名度の高い人を候補者に並べるし、その応援に来る議員でも、街頭演説などでも党の方針に即してほぼ決まり切った内容を語るのが通例だ。よほどの個人的なファンでない限り、聴衆は退屈である。

 それに対して「NHKをぶっ壊す!」とか「消費税をゼロにしろ!」といった過激なメッセージの下で、あまり見たことがないタイプの候補者がアピールする様子は、はらはらさせる感覚を与える。

 注目を集めるための下準備ときっかけさえあれば、一定の期間注目を集め続けやすい。

組織が整っていない
自由度、素人くささを逆手に

 党組織が整っていないことは、通常はデメリットだが、その分、自由度が高いともいえる。しがらみがない、従って忖度の必要もないことを、素人くささをあえて見せることでアピールすることもできる。

「N国」の候補者たちの語り方は、いわゆる政治家っぽい演説慣れした語りではないが、1つのことにオタク的に一生懸命取り組んでいるという印象を与えた。