新たに家を買ったり、借りたりするのは実に骨が折れるもの。特に、一般の消費者は家の購入や賃貸契約の頻度が低く、また十分な知識がないことから、不動産会社に言われるがまま…という人が少なくない。しかし、それでは不動産会社の“思うツボ”だ。業界の事情を知り尽くした一般社団法人安心R住宅推進協議会・代表理事の三津川真紀さんが、不動産会社の儲けのカラクリとともに、今回は損をしない「家の借り方」を解説する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林 恭子)
不動産会社は「情報」を売るだけ
建物に詳しいわけではない
――最近では賃貸大手レオパレスの建築基準法違反の問題が明るみに出るなど、消費者の間でも不動産業界に対する疑念が深まっています。
般社団法人安心R住宅推進協議会 代表理事
東京大学大学院教育学研究科、国立研究開発法人科学技術振興機構などを 経て、2004年に実父がセンチュリー21・ジャパン代表取締役に 就任したことを機に不動産業界へ転職。 2005年に株式会社船井総合研究所に入社。 以降、総合不動産ビジネス領域の経営コンサルティングに従事している。
昨今、不動産業界を揺るがすようなニュースが多発していますが、業界を知る私から見て、すべてが悪徳ではもちろんありません。しかし、中には一般の消費者をだまそうとする業者がいるのも事実。一見難しそうでも、一般の方も不動産業界に関する知識や防衛策を身につける必要があると考えています。
実際、私が不動産に関する勉強会などに登壇すると、毎回、終了後に質問者が殺到します。それだけたくさんの方が悩みや疑問を抱えていらっしゃるのですが、その多くは解決されていないことが多いようです。
ご相談の内容は不動産投資に限らず、例えば、このようなものです。賃貸では、突然管理会社が変更になったが、その事実が更新時まで何の通知もされず、あとで条件を一方的に変えられた。中古物件の購入では、セールスを受けていた段階では有名ハウスメーカーの建物だと聞いていたのに、実は違うことが契約直前に教えられた――。こうしたケースが後を絶ちません。
これらが深刻なのは、一般消費者がなかなか知ることができない情報が肝になっていることです。購入なら、家は一生に一度の買い物だからこそ、慎重になりたいですし、不正があってはありません。しかし、一生に一度という購買頻度が極めて少ない買い物だからこそ、業者と消費者の間に「情報の非対称性」が生まれており、それが消費者の悩みや疑問を深くしているのです。