山行の前に、地形・土壌・植生なども調べておくと、山の楽しさは2倍にも3倍にも増すでしょう。
山行の前に、地形・土壌・植生なども調べておくと、山の楽しさは2倍にも3倍にも増すでしょう Photo:PIXTA

今日、8月11日は「山の日」。山行の前には、頂上までのルートや交通などのアクセスや装備だけでなく、地形・土壌・植生なども調べておくことをおすすめしたい。山で出合う高山植物や大小の岩や石ころ、特徴的な地形を見れば、山の楽しさは明らかに増すだろう。(ジャーナリスト 木原洋美)

赤石岳のチャートは、
南方の海底の放散虫の化石

「なぜ山に登るのか」と問われ、「そこに山があるから」と答えたのはイギリスの有名な登山家、ジョージ・マロリー(ちなみにこの「山」はエベレスト)。山好きの心を率直に代弁している言葉といわれているが、山好きのみなさんにはさらに、「なぜ、あなたはそこにいるのか」と、山で出合う高山植物や大小の岩や石ころ、特徴的な地形に向かって発してみることをおすすめしたい。山行の前に、地形・土壌・植生なども調べておくと、山の楽しさは2倍にも3倍にも増すからだ。

 例えば、南アルプスの赤石岳の東斜面を流れる赤石沢に多く分布する、赤紫の非常に硬い岩(チャート)はなぜそこにあるのか。

 もしチャートが口をきけたなら「私は放散虫というプランクトンの化石です。海中で層を成して堆積していたのですが、7000万年ほど前、はるか遠い南の大洋底からプレートに乗って運ばれ、山の上まで押し上げられてしまいました」と教えてくれるだろう。

 赤茶色のチャートは、地球の悠久の営みと想像を絶するエネルギーの証人なのである。こうした例は、南アルプスのほか、北アルプスの両端部や奥秩父など、日本各地で見られるという。

 景色を眺めたり、写真を撮るだけではもったいない。山へ、地球の歴史を見に行こう。