毎日新聞は働き方改革と称して会社に残る社員の負担軽減を行っているが、その中で波紋を呼んだのが、「最終版の繰り上げ」だ。

 新聞制作では、印刷拠点から読者宅が遠いエリア向けの締め切りが早い版から、都内などに配る最終版まで、複数の版を作るが、毎日新聞は夕刊を1つの版に減らすとともに、朝刊の最終版の締め切りを30分以上繰り上げる。

 締め切り後に重大ニュースが入れば、柔軟に対応するようだが、紙面の品質にネガティブな影響が出るのは避けられず、新聞制作の禁じ手とも言える。

 労働組合は紙面への影響とは別の観点で懸念の声を上げている。最終版の繰り上げは記者の残業の減少につながる上、紙面をレイアウトする整理記者や校閲記者に支払われる夜勤関連の手当てにも影響し、実質的な賃金カットになりかねない。ただでさえ、「全国紙で競合他社の7掛け(0.7倍)」と言われている報酬が更に減らされようとしているわけだ。

 労働組合幹部は「1回3800円の最終版手当てが全てなくなれば、1カ月で8万円減。単純な不利益になり、組合員は到底受け入れられない」と反発している。

 毎日新聞は18年度決算で、7期ぶりの最終赤字に沈んでおり、社員の負担軽減とセットで人件費削減を目論んでも何ら不思議はない。まさに、「ジリ貧」(別の現役社員)だ。

 ただ、社員の不安の核心は足下の経営不振や賃下げではないだろう。最も深刻なのは毎日新聞の経営陣が語る自社のメディアの将来像があまりにも月並みなことだ。

 毎日新聞は社員に、「会社が再生するためには、デジタルトランスフォーメーションを推し進め、新聞発行会社から、新聞も発行する『トータル・ニュース・コンテンツ企業』に生まれ変わる」と宣言。実際に統合デジタル取材センターという部署に全国から続々と記者を集めてネットメディア対策を強化している。

 だが現状のアウトプットは、既存のネットメディアと比較して格段の目新しさがない。

 ダイヤモンド編集部は複数の現役、OB社員に感想を求めたところ、「何を今更という感じ。業績回復の起爆剤になるとは思えない」「一部新興ネットメディアのように『軽くてバズる話題』を追えば、毎日新聞のブランド毀損になり首を絞めるだけ」といった諦めにも似たコメントが返ってくるばかりだった。

 ダイヤモンド編集部は事実確認などを求めたが、毎日新聞広報担当者は「早期退職・再就職制度の詳細は外部に公表しておりません」と回答した。