ドナルド・トランプ
Photo:Reuters

 【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領は、自らの政権の主要なセールスポイントとして経済の力強さを挙げてきた。側近らも、これが大統領再選のカギだと考えている。

 しかし、今週明らかになった経済指標などの悪化で、リセッション(景気後退)が目前に迫っていることが改めて警戒され、大統領選を14カ月後に控え、経済面での成果を強調するトランプ氏のメッセージに混乱が生じかねない状況になっている。

 トランプ氏と顧問らは公式には、懸念を抱いていないと語っている。トランプ氏は連邦準備制度理事会(FRB)とジェローム・パウエルFRB議長への批判を続けているが、政府当局者らによれば、トランプ氏はそれにもかかわらず、経済面の成果を宣伝し続ける見込みだ。ニューハンプシャー州マンチェスターでの15日夜の支持者集会でも、それは変わらないという。

 トランプ氏は15日、ラジオ局のインタビューの中で「経済の現状は非常に素晴らしい。金利が正常化された状況下で、われわれは驚くほどうまくやっている。何日か悪い日もあったが、そのうち非常に良い日々が訪れる」と語った。

 トランプ氏は経済事象にツイッターで反応するが、最近トランプ氏と会話した2人の人物によれば、彼は顧問らに対し、最近の株価下落を気にしていないことを明確に伝えているという。そして、来年のリセッション入りを警告するエコノミストが増えてはいるものの、その警告は確実なものとみなされてはいない。

 トランプ氏の選挙キャンペーンに関する疑問点は、不透明な状況下で、来年11月までこうした楽観的見方を押し通すことができるのかということだ。

 共和党のストラテジストでミット・ロムニー氏とジョージ・W・ブッシュ氏の選挙キャンペーンに参加した経験を持つケビン・マッデン氏は次のように話す。「大統領は1期目任期中ずっと経済面の成果を宣伝してきた。そのため、経済が減速し始めた可能性を示唆する経済指標が出始めたことは、メッセージの発信という点で、そして有権者の受け止めという点でも、主要な懸念材料にならざるを得ない」

 マッデン氏はさらに、トランプ氏にとって問題となるのは、自らの政策が経済状況に関する懸念を増幅させていることだと指摘。「不透明感と混乱のかなりの部分は、米政府の貿易政策が引き起こしたものだ」と述べた。

 経済専門家らによれば、トランプ氏主導の対中貿易戦争は、米国民の間で今後の貿易に関する警戒感を引き起こし、ビジネスコストの変動が投資をためらわせている。貿易面の障害はまた、ドイツのような輸出依存度の大きい国に直接的打撃を与えている。

 政治活動面でのトランプ氏の支持者らは、経済の浮き沈みを注視している。トランプ氏支持のスーパーPAC(特別政治活動委員会)である「アメリカ・ファースト」の関係者は、リセッション入りした場合の打撃について、米国内でのテロ攻撃や宣戦布告といった他の政治的な劇的事態と同等のものになるとみている。

 景気の失速は、民主党の大統領候補らに大きな攻撃材料を与えるだろう。彼らは、今週の警告サインを目にする前から、トランプ氏の経済政策を批判してきた。