健康保険が使えるとわかり
Aは安心する

 翌日、C部長はAに健康保険が使えることを伝え、欠勤中は有休を取るよう提案した。すると、Aは安心した表情で言った。

「全額自己負担でなくてよかった。それに欠勤を有休扱いにしてもらえば給料が減らずに済み助かります」
「それと副業の件ですが…」
「バイトはもう辞めます。会社に迷惑をかけてしまいましたから」

 すると、同席していた妻が間髪入れずに言った。

「役職定年のせいで、主人の給料は大幅に下がりました。だからバイトをしてもらわないとわが家の家計は火の車なんです!一体どうしてくれるんですか!」
「もうよさないか!」

 Aが叱責すると、妻は黙った。

復職すると
再度、妻からバイトの話が…

 Aはその後は治療に専念し、1ヵ月後には復職した。ところがである。妻が目の前に求人チラシを差し出しながら、話を切り出してくるではないか。

「アナタ、いいバイトを見つけてきたわ!」

 チラシには「祭りの屋台でチョコバナナを売ろう・週1日でもOK!」とか「着ぐるみバイト募集・みんなの笑顔に会えるよ!」と書かれていた。Aはあきれて言った。

「これ、みんな体力系じゃないか!無理、無理。それに会社にはバイトしないと宣言したから」
「だったら会社に『バイトを再開しますから許可して下さい』って言えばいいじゃない!」
「コイツ、どこまで俺をコキ使う気なんだ…」

 Aは深いため息をつくのであった。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。

<参考> 労災が認められない場合
被保険者がインターンシップや、副業で行っていた請負業務中に負傷した場合などにおいて、健康保険と労災保険のどちらの給付も受けられないことがある。その救済策として医療を保障する観点より、労災保険の給付が受けられない場合には、原則として健康保険の給付が受けられるようになっている。(健康保険法第1条参照)