ユダヤ教で押さえるべき戒律

 律法がしっかりとあり、「ルールを守りなさい!」という主張の強さでは、ユダヤ教は5大宗教のうちトップと言っていいでしょう。

 ユダヤ教には律法(ミツヴァ)が六一三あり、そのうち、「してはならない」というのが一年の日数と同じで三六五あります。それを厳しく守っている人たちとつき合うには、NGポイントを押さえておくことが重要です。

 1 食事の戒律に気を遣わないのはNG

 イスラム教がルールに厳しいことはよく話題になりますが、日本のビジネスパーソンがユダヤ人の取引先を日本でもてなすとしたら、イスラム教の人よりも難しいのではないでしょうか。

 「カシュルート」と呼ばれる食事の規定ではヒレ、ウロコのないシーフードはNG。肉と乳製品を同時に使ったものもNGなので、チーズとサラミを使ったピザやチーズバーガーは無理です。

 血の摂取禁止、蹄が完全に分かれ反芻する(食物を口で咀嚼し、反芻胃に送って部分的に消化した後、再び口に戻して咀嚼するという過程を繰り返すこと)四つ足の動物は食べて良いなどの規定もあります。そのため反芻しない豚はダメということになります。

 2 「土曜日=安息日」と知らないのはNG

 休日はビジネスパーソンにとって影響が大きく、スケジューリングの際は注意すべきです。安息日(シェバト)は土曜日で、イスラエルでも金曜日の夕方から土曜の夕方までの二四時間は完全に休み。ありとあらゆるものが止まるので、出張の際にはくれぐれもご注意を。

 この安息日を単に休みの日と捉えてはいけません。安息日において大切なのは、「日常生活から離れ、本質的なことを深く考えること」なのです。安息日の存在にも、ユダヤ人が世界で活躍している要因があるようです。

 3 割礼について無知なのはNG
 聖書であるモーセ五書には、「男子は割礼をすべし」と何度も出てきます。男子の割礼はユダヤ教徒として必須のものと捉えられています。割礼について否定的な発言は絶対に避けるべきです。