アメリカ・ヨーロッパ・中東・インドなど世界で活躍するビジネスパーソンには、現地の人々と正しくコミュニケーションするための「宗教の知識」が必要だ。しかし、日本人ビジネスパーソンが十分な宗教の知識を持っているとは言えず、自分では知らないうちに失敗を重ねていることも多いという。本連載では、世界94カ国で学んだ元外交官・山中俊之氏による著書、『ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門』(ダイヤモンド社)の内容から、ビジネスパーソンが世界で戦うために欠かせない宗教の知識をお伝えしていく。

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ビジネスマインドあふれる「タルムード」

 「ユダヤ人は大金持ちで成功者が多い」
 「ユダヤ人は優秀だ」

 こんなイメージを抱く人もたくさんいますし、実際にたくさんの成功者がいます。スターバックス、リーバイスの創業者はユダヤ人(ユダヤ系を含む)ですし、アインシュタインもユダヤ人。

 世界人口のわずか〇・二五%のユダヤ人が、ユダヤ系を含めるとノーベル賞受賞者の二〇%を占めているといわれています。『フォーブス』の長者番付で常に上位を占めているのもユダヤ人です。

 ユダヤ人がこれほどまでに優秀な理由は二つあると、私は考えています。

 一つは、ヨーロッパで圧倒的に少数派であり、キリスト教徒でないために差別されていたから。政治家や官僚など、その国のメインストリームに行くことは難しく、ビジネスや金融、科学や芸術など自らの才覚で人生を切り拓こうとしていたためでしょう。

 そしてもう一つ、とても大きな理由はモーセが伝えたユダヤ教徒の守るべき聖典の一つとされているタルムードの存在です。

 宗教にはそれぞれ聖典がありますが、タルムードは他の宗教に比べて現実世界における成功や繁栄につながる内容がかなり多くあります。「ビジネスパーソンの指南書」たる要素すらあると感じます。

 たとえば「学ぶことが大切だ。常に新しいことを学びなさい」などといった教えがあり、なにより特徴的なのが、約二〇〇〇年も前から生産性について述べられていること。「時間当たりの成果をちゃんと意識しなさい」と明記されており、驚きます。

 差別されてメインストリームに行けない時点でいじけてしまいそうなものですが、ちゃんと学んで成果を上げる、これはタルムードのおかげと言っていいのではないでしょうか。

 アメリカやイスラエルでスタートアップが多いのも、さもありなんです。他の宗教にも優れた教えがたくさんありますが、現代のビジネスパーソンに直結する教えがあるのはタルムードが一番と言えそうです。