実入りがゼロにもかかわらず、一体なぜそうまでして販売実績を上げる必要があるのか。それは、営業目標という名で本部から課される事実上のノルマが、郵便局長や局員に想像以上に重くのしかかっているからにほかならない。

 保険営業をしている局員は、ノルマを下回ることが続くと「管理者からの激しい叱責や、営業の推進遅延を厳しく問い詰められる『実績向上期待社員研修』が待っている」(同)という。

 それを回避したいがために、郵便局を信頼し疑いを持たない顧客を何とか言いくるめ、契約を転がしているわけだ。

 そもそもがん保険には、がんの自覚症状が出てから慌てて保険に入るといった悪用を防ぐため、契約日から3カ月間は保障を受けられない免責期間(待ち期間)が存在する。

 先のように、2回目の保険料を払ってすぐに解約するようなことを繰り返す場合は、顧客をずっと保障が受けられない「無保険状態」に置くことになり、大きな不利益を与えることになる。

 その一方で、がん保険の場合、商品の改定などによって保障内容がより充実した保険に入り直すというのは一般的に行われている。契約したもののやはり不要だった、と言って解約する顧客が一定数いるのも確かだ。

 そのため、早期解約が郵便局員の販売実績の水増しのために顧客にさせたものなのかどうかは、すぐには判別しにくい。

 ただ、販売実績目的の早期解約がボリュームとして大きくなると、手数料の戻入が多いにもかかわらず、販売実績だけは上がっているという現象がどうしても起きるため、調査をする手掛かりにはなりそうだ。

 日本郵便はダイヤモンド編集部の取材に対し、「早期の解約等が発生した場合には、事情の確認や管理者による指導を実施する態勢は整えている。全体的な状況については、アフラックからモニタリング結果として報告を定期的に受けているが、指摘のような事実(販売実績のために短期間で契約を転がす不適切な事例)は把握していない」との見解を示している。