今後の資金繰りは大丈夫?

 こうしたこともあり、主力事業である投資用アパート販売がほとんどできなくなった。そのため、業績悪化に歯止めがかからなくなってしまった。

 もともとTATERUはオーナー希望者からの要望を受けて土地を仕入れるというスタンスだったため、在庫はそれほど抱えていなかった。だが問題発覚以降、融資を受けられなくなったオーナーの土地を引き取り、販売用不動産として在庫を抱えることになってしまった。それを事業資金確保のため、他の不動産会社に一括売却してきたという経緯がある。貸借対照表を見ると、約127億円あった販売用不動産が約73億円まで減り、その損失が約32億円に上ったようだ。

 問題は今後の資金繰りだ。まず残った販売用不動産約73億円については、「これまでのような大きな損失を出さず処分できる」(TATERU広報担当者)と見込んでいる。また、手元の現預金は約104億円残っている。純資産も約139億円あり、すぐさま資金不足や債務超過に陥る状況ではなさそうだ。そのため、TATERUの財務諸表には、経営に危険信号がともったことを意味する「継続企業の前提に関する注記」はまだ付されていない。

 「今後、アパート販売は縮小するが続けていきたい。また新規事業も拡げていきたい」(TATERU広報担当者)と巻き返しを図る考えだが、そもそも投資用アパートは「かぼちゃの馬車・スルガ銀行問題」以降、融資がかなり厳しくなってしまった。業界環境を考えても、本業だったアパート事業がかつての勢いを取り戻す可能性はほぼないだろう。

 またTATERUが言うところの新規事業とは、関連会社でスマートロックやチェックインタブレットといったICTを活用した宿泊施設運用サービス、ホテル運営、賃貸経営オーナー向けのIoT機器の企画・開発などだが、中間決算時点の売り上げは合わせて約6億円。経営への貢献度はまだまだ低い。

 TATERUは今期で赤字を一掃し、来期黒字化の意欲を見せている。だが、何より一度失った信頼を取り戻すのは難しい。古木大咲社長自身がまだ、記者会見などの表舞台で今回の事件の反省と将来のビジョンを語ることもしていない。IoT機器は管理会社などにも売り込んでいるが、将来の見通しが立たない会社のサービスがそう簡単に広まるとも思えない。経営再建に向けて事業縮小しているTATERUだが、苦難の道がしばらく続きそうだ。