科学技術が進むと
哲学と宗教は
死んでしまうのか?

 そうなるとどうなるか?
 哲学は世界を全部理解しようとする学問ですが、ひょっとしたら哲学の対象となる領域が小さくなっているのでは? という仮説が成り立ちます。

 すべての世界を理解しようとした哲学ですが、哲学のうちのかなりの部分、たとえば宇宙の仕組みは物理学に取られてしまう。

 あるいは、人間はどこからきてどこへ行くのかの部分は生物学や遺伝子学に取られてしまう。

 技術や科学が進んだということは、哲学の分野が小さくなっているのではという仮説が成り立つかもしれません。

 ただ、以前話したように、部分部分がわかればわかるほど、全体を理解しようとする営為が見えにくくなるから、哲学が復権するのでは? という見方も同時にありうると思います。

 宗教にも同じことが言え、宗教は、なんでこんなに世の中はつらいんだろうとか、不幸があるんだろうということを解こうとした人間の営みですよね。
 宗教が復権するという見方もありうるわけです。

(次回につづく)