承認欲求にお金を使いすぎた人の末路は、破産ではない。もっと残酷な形でやってくる――。人生に響く「お金の使い方」を教える世界的ベストセラー『アート・オブ・スペンディングマネー』が指摘するのは、ステータス消費が「満足を積み上げない支出」になりやすいという事実だ。(執筆:坂本実紀、構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
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「承認欲求」に基づく消費は、満足が長続きしない
人はなぜ、「人からどう見られるか」にお金を使ってしまうのか。
流行のブランド品や肩書き、見栄えのいい体験……。これらはどれも社会的には前向きで、努力や自己投資の結果にも見える。
しかし、それらを「承認欲求を満たすため」に使うと、実は満足感が薄まりやすい。その理由を『アート・オブ・スペンディングマネー』では、承認欲求に基づく消費は満足が長続きしないと伝えている。
(『アート・オブ・スペンディングマネー』より抜粋)
手に入れた瞬間は気分が上がるが、時間が経つと効果は薄れる。SNSでの反応も、一過性にすぎない。
そうして次は、もう一段上の評価を求めて、さらにお金を使う。この循環に入ると、支出は増えても充実感は積み上がらない。
夫のためにインフルエンサーになった友人
最近、夫婦関係に悩んでいた一人の友人が急にインフルエンサーになった。
聞けば、夫の友人の奥さんがインフルエンサーで、対抗するために始めたのだという。画面越しで見る日々はキラキラしており、トレンドのアイテムを着こなす様子はまるでモデルのようだ。
フォロワーはみるみる増え、きっと彼女は夫の望み通りに「自慢できる妻」になっているはずだ。
同時に、もともとは承認欲求の強くない友人が、夫の期待に答えるために無理をしていないか心配になった。
これは特定の誰かだけの問題ではない。承認欲求を満たすためにお金や時間を使い続ける人の多くが、同じ構造に巻き込まれていく。
『アート・オブ・スペンディング・マネー』では、ステータスにお金をかけることについてこうも指摘している。
(『アート・オブ・スペンディングマネー』より抜粋)
基準が他人にある限り、本当の意味で心は満たされない。残念な末路は、破産や失敗のようにわかりやすい形ではなく、頑張っているのに、なぜか満たされない状態が続くことなのかもしれない。
では、本当の幸せな「お金の使い方」とは何か?
それはもしかすると、自分が納得できる支出なのかもしれない。
「生活の負担や不安を減らすための支出」
「自分にとって本当に幸せを感じることに費やしたお金」……
こうした振り返ったときに自分自身が意味を感じられることへの支出こそが、人生を幸せにしてくれるのではないだろうか。
(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)
WEB&ブックライター
高知県出身の3児の母。出版社勤務を経てフリーライターへ転身し、現在は新潟市を拠点に地域情報メディアのライティングやブックライティングに携わる。恋愛コラムニストとしても活動。





