対中貿易戦争、トランプ氏再選への危険な賭けPhoto:Reuters

【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた対中貿易戦争は、2020年大統領選の明確な争点となりつつある。トランプ氏の強硬な通商姿勢が再選を目指す上で有利に働くとの共和党の主張は、金融市場の動揺と景気鈍化の懸念を受けて試練にさらされている。

 ジョー・バイデン氏を含む民主党の各大統領候補は既に、トランプ氏の弱点となり得る国内での悪影響に注目している。その中には、関税の打撃を受ける企業や消費者、中国の対抗措置によって対中穀物輸出ができなくなった農家などへの影響が含まれる。

 民主党候補の中で支持率首位のバイデン氏は20日、アイオワ州ウォーレン郡で「これは米国の農家を崩壊させている」と指摘。「この州、この国全体でどれほど多くの農家が、こうした関税政策によってすべてを失い、農場を失う恐れに直面しなければならないのか」と語った。

 米国の消費者は、中国製の衣料品や電子機器などが10%の追加関税の対象となる9月1日から影響を感じ始めるだろう。次いで12月15日からは、スマートフォンや玩具などへの追加関税が導入される。

 一方で中国政府は23日、750億ドル(約7兆8700億円)相当の米国産品に追加関税を課すという対抗措置を発表した。これを受けてトランプ氏が一段の対抗手段を警告したことから、金融市場は再び急落した。