横浜がIRに向かないのは
観光エリアが小さいから

 断っておくが、筆者は藤木会長と同じで、IRそのものを否定しているわけではない。むしろ、当初IR法案を通した際に政府が掲げていた「周遊観光の拠点」としての機能は、これからの日本になくてはならないものだと思うし、カジノに関しても、世界中から訪れる観光客に対応する超巨大施設を運営するための、収益面の”エンジン”として必要不可欠だと考えている。つまり、日本にIRができるのは賛成なのだ。ただ、横浜の山下埠頭につくるのはいかがなものか、と申し上げたいのだ。

 理由はごくごくシンプルに、観光地としての「キャパシティ」の問題である。横浜はキャパが小さくて、IRの経済効果・雇用効果を打ち消すほどの弊害が出ることが予想されるのだ。

「ミナト横浜」なんて言われるように、横浜市で観光客が訪れるスポットはベイエリアに集中している。関内や伊勢佐木町も海からせいぜい1~2キロ圏内だ。もちろん、八景島シーパラダイス(金沢区)やズーラシア(旭区)だとかも「横浜の観光スポット」ということもできるが、基本的に国内外の観光客が多く押し寄せるのはベイエリアに限定されている。

 では、広がりはどうか。横浜駅から、「港の見える丘公園」まで車で移動すれば、距離は4.6キロ。これを本牧まで伸ばしても6.5キロにしかならない。これが観光地としてあまり大きくないということは、日本が誇る国際観光都市・京都と比べれば一目瞭然である。

 京都はご存じのように、街全体が一つの博物館といってもいいほど、京都駅を中心にして東西南北に寺や神社などの文化財や、風光明媚なスポットが広がっている。例えば、京都駅から外国人にも人気の金閣寺までは京都駅から北に約8キロ、嵐山までは西に約9キロである。無論、そこへ行くまでもさまざまな観光スポットがあるのだ。

 では、京都と比べてあまりにもコンパクトな観光地・横浜にIRができると、一体どんなことが起きるのか。