米国で販売活動を行っている
自動車メーカーにとって最大の関心事

 カリフォルニア州(以下、カ州)はCAA(クリーン・エア・アクト=大気浄化法)209条の“強制排除権免責”という条項を利用して、連邦排出ガス規制と連邦CAFE規制に同調せず、独自の規制を適用。いわゆるカリフォルニア規制だ。トランプ政権はCAAを改正し、強制排除権免責の条項を撤廃。州が独自規制を敷けないように狙っている。来年の大統領選挙でトランプ氏が再選すると、CAA改正が行われ、カ州独自規制は“違法”として撤廃されると思われる。

トランプ大統領イラスト
イラスト:安田雅章

 だが、カ州側も黙ってはいない。CAA改正が行われた場合、即座に連邦裁判所に提訴し、トランプ政権と争う予定だ。現在、カ州規制には約10州が賛同しており、カ州規制への合流を検討している州を合わせると13州ほどになる。つまり、全米51州の中の一定勢力が“連邦規制より厳しい規制を導入する”という1国2制度状態だ。

 自動車メーカーにとって、これは面倒。米国仕様以外にカ州仕様を設定しなければならないからである。

 そこで自動車メーカー各社は、トランプ政権に対し「カ州と和解してほしい」「カ州が納得するレベルのCAFEおよびGHG規制を決めてほしい」と陳情している。トランプ大統領が再選されてカ州との法廷闘争になった場合、結論が出るまでに1年以上はかかるといわれる。自動車メーカーは法廷闘争が始まれば新型モデルの仕様設定ができなくなるだろうし、将来に向けたエンジン開発プログラムが一時凍結される可能性がある。

 厳しいカ州の規制値に合わせて仕様を決定すればいいかというと、そうではない。カ州仕様は排出ガスおよび燃費対策のために特別な開発費が上乗せされており、その分が車両価格に反映される。連邦規制を採用している州のユーザーにとっては、“不要な装備”と“不要なコスト”を負担する構造になる。

 はたしてトランプ大統領は再選されるだろうか。これは米国で販売活動を行っている自動車メーカーにとって、最大の関心事といっても過言ではない。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)

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