米国の商業不動産市場で好況が続いたのは、オフィスビルや集合住宅、ショッピングモールなどの不動産に対する外国人投資家の購入意欲の高さも追い風になっていた。ここに来て、不動産市場が成熟期を迎え、地政学的要因や世界経済を巡る不透明感が高まる中、外国人投資家による米商業不動産の売却額は四半期ベースで2013年以来初めて購入額を上回った。調査会社リアル・キャピタル・アナリティクスによると、外国人投資家による2019年4-6月期(第2四半期)の不動産売却額は134億ドル(約1兆4000億円)に達する一方、購入額は126億ドルにとどまった。このところ欧州とカナダの投資家や、中国の大物投資家の一部が売りを活発化させている。法律事務所ロープス・アンド・グレイの資産運用パートナー、マット・ポストゥーマ氏は「米不動産は現在、非常に高い価格がついているうえ、人々は市場がピークに近いと考えている」と指摘した。