また、国債発行による投資は、一方で有効需要を増加させるので、先行き不安の要因になっている米中貿易戦争の激化や10月からの消費増税などで景気が悪化したときや、不安が強まったときの対応にもなる。

 こうした投資の絶好のチャンスに、債務が大きくなるのを懸念し財政健全化をいい、国債発行を減額するのはまったくばかげている。

インフラ整備や景気対策
金利正常化にもつながる

 国債金利がマイナスというのは、国債市場の需給関係から見れば、国債供給が少な過ぎて品不足になっているという市場のサインでもある。

 それに応えるためにも、政府は国債をそれこそガンガン発行すべきである。マイナス金利のもとでの国債発行による政府の投資を増やすことで、金利が上がりマイナス金利が解消すれば、金融機関の経営を助けることにもなる。

 今の時点での国債発行による政府支出は、大震災のリスクその他の政府として必要な将来投資、先行き経済不安への対応のための有効需要創出、金利正常化での金融機関の経営支援という「一石三鳥」の政策なのだ。

 筆者はかつて財務省国債課に在籍していたときに、どのような国債の期間構成が国にとって最適になるのかを分析した負債管理理論をまとめたが、その理論では今の日本のイールドカーブなら国債発行の基本はシンプルだ。

 中長期ゾーンでは金利がゼロになるまで無制限に発行するのがのぞましい、となるだろう。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)