主に首都圏エリアを管轄してきた東電EPは、約2000万件の顧客基盤を有する。東電HD関係者によれば、1件当たり1万円で売却するといううわさも出回ったという。1万円×2000万件で計算すれば、総額2000億円に上る。

 仮に東電EPを売却して2000億円のキャッシュを得られれば、福島への責任を果たすための資金捻出策となる。

 1社単独による2000億円の買収は現実的ではないとされ、首都圏エリアごとで切り売りするとの見方もある。

 東電EPの売却に関心を寄せているプレーヤーは少なくない。

 大本命は、石油元売り業界トップのJXTGホールディングス(HD)といわれている。

 JXTGHDは新たな成長分野として、電力・ガスの小売り事業に力を入れている。もともとJXTGHDにとって東電HDは、原油精製過程で作られる重油を長年販売してきた「お得意さま」で、歴史的に縁が深い関係にある。

 JXTGHD関係者によれば、JXTGHDの杉森務社長と東電HDの小早川社長は定期的に会食する間柄で、2人の関係は良好という。総合エネルギー企業を目指すJXTGHDにとって、東電EPの買収は悪い話ではないはずだ。

 このほか、首都圏市場への本格参入を狙う関西電力や大阪ガス、東電HDの最大のライバルである東京ガスも引受先として名前が挙がっている。

 東電HDが抜本的な収益改善策を新たに見いだせなければ、東電EP売却構想は、現実味を帯びてくるだろう。