3月7日、買い物客が行き交う東京都葛飾区の大型ショッピングセンターに東京電力ホールディングス(HD)の小売り事業会社、東電エナジーパートナー(EP)の川崎敏寛社長の姿があった。トップ自らが買い物客に声を掛け、電気・ガスを売り込んでいたのである。
危機感の表れであり、自社の営業部隊を鼓舞する狙いもあったのだろう。川崎社長は今年に入ってから退任のうわさが社内外で広がっていたこともあり、最後のパフォーマンスだったのかもしれない。
東電グループの人事が3月13日に発表された。東電EPは川崎社長が退任し、秋本展秀・常務取締役サービスソリューション事業本部長が4月1日付で新社長に就任する。東電関係者によると、事実上の更迭だ。
2017年4月に就任した東電HDの小早川智明社長は、もともと東電EPの社長。いわゆる“東電守旧派”をぶち抜いて初の営業部門出身者がトップになったこともあり、小早川社長の後任として就任した川崎EP社長は当初、「次期HD社長候補の一人」とまでうわさされていた。
小早川HD社長はなぜ、就任から2年で川崎EP社長を更迭するのか。