新刊『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念して、著者の勅使川原真衣さんと、坂井風太さんとの特別対談を実施。坂井さんは勅使川原さんの著書を「すべて読んでいた」そうで、初対面のお二人とは思えぬ熱い話が繰り広げられました。(構成/ダイヤモンド社・大西志帆)

「物わかりが悪い」ふたり
勅使川原真衣(以下、勅使川原) はじめまして。お話しできてうれしいです。
坂井風太(以下、坂井) よろしくお願いします。勅使川原さん、ずっとお会いしたかったんですよ。
勅使川原 いやいや本当に。
坂井 もちろん今回の新刊に解説文を書かせていただいたというのもあるんですが、ご著書は初作から読んでいて、とんでもなくいいなと思っていたんです。
坂井風太(さかい・ふうた)株式会社Momentor 代表取締役社長
元DeNA人材育成責任者。子会社代表などを歴任後、現職。体系化されたマネジメント・人材育成理論が好評を博し、業界最大手企業から急成長スタートアップまで、幅広い企業を支援。
勅使川原 かなり初期の時から読んでくださってますよね。
坂井 そうですね。私の過去のつらかった経験が全て優しく包み込まれるようで。
勅使川原 ありがとうございます。今回の新刊の副題、「結局リーダーは」って良くないですか? 結局どうなのよっていう。
どんな仕事も絶対に人とするので、話し言葉でも書き言葉でもコミュニケーションが生じるという面で、コミュニケーションの仕方に特化して書きました。
坂井 はい。私は常々、「これが普通だ」とか、「世界標準のマネジメント理論はこれだ」とか、全部嘘くさいなって思っていて。
嫌でもその物差しをあてがわれるし、その物差しに対して何か言うと「お前がわかってないだけだよ」みたいになる。まさに、そういうことに人生を通じてすごい違和感を覚えてきたというところだったんですよ。
勅使川原 解説文の冒頭に書いてくださった中学中退のお話も、すごく印象的でした。
坂井 本当ですか。あと、この『組織の違和感』というタイトルも、違和感を持つことが悪いとされる時ってあると思うんですね。それで言うと、「物わかりが悪い」って言われることありませんか?
勅使川原 ありますあります。もっと言うと「頭が悪い」とか。
坂井 そうそう。
勅使川原 「効率」だとかね。「生産性が低いんじゃないか」とか。
借り物の言葉で喋っていないか
坂井 でも、「違和感」というと、ちょっと救ってくれた話があって。前職がDeNAというIT企業なのですが、最初そこでずーっと「坂井はDeNAらしくない」って言われてたんです。
でも唯一、僕のことを認めてくれたマネージャーが、「坂井さんは人よりも理解が遅いかもしれないけれど、そこが一番いいところです」って言ってくれたんですよ。
勅使川原 へえー!
坂井 要は、「簡単にわかったふりをせず、本当かな? って坂井さんは考えちゃうから、器用に成長するタイプではない。けれども、ちゃんと腹落ちして本質をつかめば急に伸びるから大丈夫だよ」って。
勅使川原 その人、神じゃないですか。
坂井 それもあって、違和感を持ちつづけてホールドすることが悪いことではないし、言語化が早いのが良いことでもないとは思ってるんです。
勅使川原 そうですね。言語化、言語化言ってますけどね。
坂井 僕も言っちゃってるかもしれないですけど。でも別に、当意即妙だけど「空っぽの当意即妙」みたいなのもあるわけで。
本当に腹から考えてるのかとか、借り物の言葉で喋っていないかとか、理論というものを思考停止の道具としていないかっていうところが大事ですよね。
それでも「わかりやすく書く」という覚悟
坂井 その上で、この本のいいところとして、今回すごい踏み込んだなと思ったんですよ。コミュニケーションを、すっごいわかりやすい手引きで書いてらっしゃるじゃないですか。ソーシャルスタイル論で。
勅使川原 商売上がったりですよ。
坂井 これどうしたのかな? って。
勅使川原 と言いますと?
坂井 いい悪いじゃなくて、割とテクニカルにまで踏み込んだことをされたなと思いました。
勅使川原 あ、なるほどなるほど。
坂井 序文でも、なんでダイヤモンド社から出すのかっていうご自身の葛藤を書いているじゃないですか。
勅使川原 そうですね。
坂井 だからあらためて、今回テクニカルなところでガッといったのは、これ何でなんだろうなと思いましてね。
勅使川原 ありがとうございます、水を向けていただいて。いやあのね、逆に言うと、これまでの作品って実はわかりにくく書いてるんですよ。
坂井 やっぱそうですよね。
勅使川原 はい。「わかる」ってことがそんなになくていいと思うし。あとはわかった気になることの方が危険だなと思っているので。なんだけども、同時にやっぱりわかりにくいってご意見もいただいたりとか。
坂井 ああ、そうなんですか。
勅使川原 「結局」という言葉に戻るんですけれども、「勅使川原が言ったことはどうやって実装すればいいですか?」って全国津々浦々からいただいていて。
だからそろそろお答えしておこうかなと。結構腹くくりました。今回は。
坂井 そういうことですか。その知的な誠実さが、本当に勅使川原さんの良さだと思います。
勅使川原 えっ、嬉しい。
坂井 だって、本当に大事なものってだいたいわかりにくいじゃないですか。
勅使川原 ですね。
坂井 わかんないものはわかんないって言える方が誠実じゃないですか。でもそれを、「なんとかと同じだな」みたいにやっちゃうと全部終わるんです。
勅使川原 うわぁ、本当にそうですよね。迷ってる方は多いですよね。これでいいんだろうかって。
坂井 そう。だからこの本のいいところは、違和感っていうものがまず悪いことではないというところをやりつつも、なおかつ勅使川原さんがダイヤモンド社の編集者と踏み込んで、ノウハウまでやろうっていうところ。
でも、ノウハウを語る前に、絶対にWhyの部分とかもやりたかったんだなっていうのも感じる。つまり、勅使川原さんはやっぱり常に最高傑作を出そうとされているんだな、と思いましたね。
勅使川原 天才ですか?
坂井 え?
勅使川原 私の頭の中を言ってくださって。
坂井 ほんとですか。
勅使川原 やだあ。ありがとうございます。うん。ハウツーって愛ですよ、結構。
坂井 そうでしょうね。
勅使川原 私、コンサルはいなくなっていいと思ってるんで。……あ、ごめんなさい。
坂井 いや、私は別にコンサルというアイデンティティを持ってないので。
勅使川原 ありがとうございます。何て呼んでるんですか? ご自分のこと。
坂井 「坂井風太」ですよ。
勅使川原 あ!
坂井 でも便宜上はやっぱり、コンサルみたいな呼ばれ方にはなっちゃいますけども。
勅使川原 そうなんですよ。
坂井 そういうカテゴライズも嫌なんだよなーと思いつつやってますよね、本当は。
勅使川原 そんな迷いながらやっているふたりで、お届けしたいと思います。
*第2回は1/20(火)公開予定です。






